日本語教育学会の特別講演を聴講してきた
大学時代の恩師が講演すると聞いて、5月20日に早稲田大学で開催される日本語教育学会の特別講演に出向いた。
講演のタイトルは「日本語教育の現代的可能性を拓く:人工知能との対話」。
その感想を備忘録として書き留めておく。
なぜ日本語教育と人工知能?
日本語教育は、日本語を母語としない人に日本語を教育することである。
どのような教育が効果的か、どのような誤用が多いかなど多岐にわたって研究されている。
ここで、なぜ人工知能かということだが、近年人工知能が人々の職を奪うのではないかと、騒がれている。
例えば自動翻訳やボット、Webサービスでの言語学習など、多岐にわたって活用されている。
そんな中、人工知能と日本語教育の接点を探り、人工知能の誤解を解き、日本語教育の意義を再確認するための会であった。
ここで言っている人工知能とは?
ずばり、自然言語処理を中心とした分野のことである。
自然言語処理とは、言語を対象に情報処理を行い所望の目的を達成することである。
日本語教育も言語を対象としているため、言語処理と大いに関係があると言える。
特別講演の概要
ことばを操るコンピュータ?
名古屋大学の佐藤先生がご講演された。
人工知能とは何か?ということを以下のように説明されていた。 - 工学的ゴール - どうすれば知能が作れるか? - 科学的ゴール - 知能とは何か?
これらを踏まえた上で、今の人工知能は記号列を統計的に処理し いかにも知的な振る舞いをしているだけということであった。
他には、ショートショートの話や東ロボくんの話も面白かった。
AIは道具であるー日本語教育のための自然言語処理の取り組みー
恩師の長岡技術科学大学の山本先生がご講演された。
人工知能とは、万物を処理するものではなく、一つのことができる道具であると説明されていた。
それを寄せ集めることで、例えば日本語教育にAI技術が役立つといったお話をされていた。
日本語教育向けに研究されている日本語解析システム「雪だるま」の話や、文章内容理解問題自動作成システムなど具体的なシステムや貢献の話であった。
感想
人工知能の説明の仕方が本当に勉強になった。
人工知能とは何か?言語処理とは何か?ということについて説明を求められた際に、このような説明をすると伝わるのかと思った。
佐藤先生の講演で印象に残ったのは、「便利なものを作ると忙しくなる」というものである。
メールが出来て、仕事は増えてしまったというようなものである。
他には、在学中に開発していた雪だるまが紹介され、日本語教育の方々が興味を持っていることを再確認した。
実際に使ってもらえるツールに在学中関われたことは、本当に貴重な経験だったと思う。